『82年生まれ、キム・ジヨン』が描くのは女性問題だけじゃない

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韓国では100万部以上の大ヒットとなっている『82年生まれ、キム・ジヨン』。

皆さんはもう読まれましたか??

 

ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかのようなキム・ジヨン。誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児…彼女の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。女性が人生で出会う困難、差別を描き、絶大な共感から社会現象を巻き起こした話題作!

Amazon作品紹介より 

 

 

 

筑摩書房公式サイト

www.chikumashobo.co.jp

 

本の概要とこんな人におすすめ

 

この本はいわゆるフェミニズム的な女性差別に関する問題提起が主題です。男性優位な社会のなかで女性が理不尽な思いを抱えつつもいかに生きてきたかが生々しく書かれています。小説でありながらノンフィクションのよう。 

 

こんな方におすすめの本です。

・自分の人生と社会との関係性をあらためて振り返ってみたい女性

・本当のところ女性たちはどんな思いなのか?を知ってみたい方

 

私の体験ともほぼ一致していました 

 

実は私自身、82年生まれなんですよ。だから韓国社会のキム・ジヨンと日本社会の私を重ねながら読んでいきました。

主人公が社会人になるまでの描写は、日本とだいぶ違うと感じたところが多かったのですが、社会人になってからは日本とほぼ一緒のように感じました。

就職活動で男子学生のほうが内定もらいやすいこと、結婚出産育児の際に必ず仕事を続けるかやめるかが付いてまわること。

高校を出るまでは男女の差などまったく感じずに生きてきたのに、社会に触れだす大学生の就職活動の時期からあれよあれよと不条理にさらされていく。

私自身も正直ショックだったんです。こんなこと誰も教えてくれなかったって。働く女性なら誰でも経験したことではないかと推察します。

 

この本のヒットの背景は「自らの思いを代弁してくれている」「自分自身が言っているようだ!」という思いをもった人が多かったからなんでしょうね。

 

ネタばれになりますが、あとがきの最後に恐ろしい指摘もされています。

この本に登場する女性はすべてフルネームで記載されていて現実社会ではありえないこと。

(○○ちゃんのママ、○○さんの奥さんなど役割で呼ばれることが多い)

一方男性は夫以外、一人も名前を書かれていない。

それは社会で女性がされていることに対するミラーリングであると。

 

この社会構造に対して一石を投じたい著者の思いを感じます。 

 

この本を読んでみんなで考えたいこと

 

この本を読んだ私は、女性差別をなくそうということだけを声高に叫ぶ気にはなりませんでした。

それだけに焦点を当てることは、部分的な問題提起になるからです。

 

それよりももっと奥深い、人間なら誰もがもつ妬み・分離意識・孤独感・不安・絶望・苦しみ・無力感といったものが描かれていると感じました。

 

女性差別だけに限らず世の中には社会問題がたくさんあります。介護問題、障がい者差別、外国人労働者問題、少子化、若者の虚無感の蔓延、雇用問題。

日本の外に目を向ければ今もなお内戦紛争テロ経済格差などの問題も脈々と継続しています。

 

これらすべてを解決して世界中のみんなが幸せになる社会になったら本当に理想ですよね。そのような世界を実現するには一体どうしたらいいのか?

それには、先ほど述べたような人間なら誰でももつ感情レベルで渦巻くものを突破しないといけないと感じています。

 

男性だろうが女性だろうが誰もが納得できる共通の問題を理解できたときにこそ、ともに歩む道が見えるのではないでしょうか。

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。

 

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Written by
チームワークコンサルタント miwa